「ビーツって最近よく聞くけど、どんな野菜?」
「カブみたいに見えるけど、実際の味は?」
そんな疑問をお持ちの方へ、この記事ではビーツの基本情報をわかりやすく解説します。
実はビーツは見た目に反してカブの仲間ではなく、ほうれん草と同じヒユ科の野菜。「食べる輸血」「奇跡の野菜」とも呼ばれる栄養価の高さで、近年日本でも注目を集めています。
ビーツの特徴から味、種類、選び方まで、初めての方にもわかりやすくご紹介します。
【この記事でわかること】
- ビーツとはどんな野菜か(分類・特徴・歴史)
- ビーツの味と食感の特徴
- 代表的なビーツの種類と品種
- 美味しいビーツの選び方
- ビーツの旬と産地
ビーツとは?基本情報を解説
ビーツは、その鮮やかな赤紫色が印象的な根菜です。見た目は赤カブに似ていますが、実はカブとはまったく異なる野菜。ここでは、ビーツの基本的な情報を詳しく解説します。
ビーツの分類と別名
ビーツは「ヒユ科フダンソウ属」に分類される野菜です。
赤カブのような見た目から「カブの仲間」と思われがちですが、実はほうれん草やスイスチャード(フダンソウ)、そして砂糖の原料となるテンサイ(甜菜)と同じ仲間に属しています。
【ビーツの分類】
- 科名:ヒユ科(旧アカザ科)
- 属名:フダンソウ属(Beta属)
- 学名:Beta vulgaris
- 英名:Beetroot、Table beet、Garden beet
【ビーツの別名一覧】
|
呼び名 |
説明 |
|
ビーツ/ビート |
日本で最も一般的な呼び方 |
|
テーブルビート |
食用ビートを指す正式名称 |
|
ビートルート |
英語圏での呼び方(beetroot) |
|
レッドビート |
英語圏での呼び方(beetroot) |
|
火焔菜(カエンサイ) |
日本での和名(燃える炎の色から) |
|
ウズマキダイコン |
断面の渦巻き模様に由来 |
|
ガーデンビート |
家庭菜園で育てる食用ビート |
ちなみに「ビート」という名前のグループには、ビーツ以外にも砂糖の原料となる「テンサイ(シュガービート)」や、葉物野菜として食べる「フダンソウ(スイスチャード)」なども含まれます。
ビーツの原産地と歴史
ビーツの原産地は地中海沿岸から西アジアにかけての地域とされています。
その歴史は非常に古く、古代ギリシャやローマ時代にはすでに薬用植物として重宝されていました。紀元前から赤い根を持つビートが食べられていた記録があり、中世ヨーロッパではさまざまな料理法が確立され、広く普及していきました。
特に有名なのが、ウクライナの伝統料理「ボルシチ」です。世界三大スープの一つとも言われるボルシチは、ビーツを使った代表的な料理として世界中に知られています。
【ビーツの歴史年表】
- 紀元前:地中海沿岸で野生種が食用に
- 古代ギリシャ・ローマ時代:薬用植物として利用
- 中世ヨーロッパ:食用として普及、料理法が発展
- 現代:世界各地で栽培、健康野菜として注目
現在、ビーツは主にオランダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで生産され、ヨーロッパやアメリカでは日常的に食べられている馴染み深い野菜です。
日本ではこれまで缶詰や水煮パックでの流通が主でしたが、近年は国内栽培も広まり、生のビーツも手に入りやすくなっています。
「食べる輸血」「奇跡の野菜」と呼ばれる理由
ビーツは「食べる輸血」「奇跡の野菜」「スーパーフード」など、さまざまな呼び名で呼ばれています。
これは、ビーツが持つ驚くべき栄養価の高さに由来します。
【ビーツに含まれる主な栄養素】
▼ミネラル類
- カリウム:460mg/100g(トマトの約2倍)
- マグネシウム
- リン
- 鉄分
- 亜鉛
▼ビタミン類
- 葉酸:根菜類トップクラス
- ビタミンB6
- ビタミンC
- ナイアシン
- パントテン酸
▼その他の成分
- 食物繊維
- ベタシアニン(赤い色素、ポリフェノールの一種)
- ベタイン
- 硝酸塩(一酸化窒素の元)
- 天然オリゴ糖(ラフィノース)
特に注目されているのが「硝酸塩」という成分です。
ビーツに含まれる硝酸塩は、体内で一酸化窒素(NO)に変換され、血管を拡張して血流を改善する働きがあるとされています。この一酸化窒素の働きは1998年にノーベル生理学・医学賞を受賞した研究テーマでもあり、科学的にも注目されている成分です。
また、ビーツの赤い色素「ベタシアニン」は、ポリフェノールの一種で強い抗酸化作用を持っています。ブドウやブルーベリーに含まれるアントシアニンとは別の色素で、ベタシアニンを含む野菜は非常に珍しいとされています。
※ビーツの栄養成分と健康効果について詳しくは、「ビーツの栄養成分と健康効果|"食べる輸血"と呼ばれる理由」の記事で解説しています。
ビーツの味と食感
ビーツを初めて食べる方が気になるのが「どんな味がするの?」という点でしょう。
ここでは、ビーツの味と食感の特徴を詳しくご紹介します。
ビーツの味の特徴|甘みと独特の風味
ビーツの味を一言で表すと「ほのかな甘みと独特の土の香り」です。
ビーツには砂糖の原料となるテンサイ(甜菜)と同様にショ糖が含まれており、自然な甘みがあります。ショ糖の含有量は約6%で、糖度だけで言えば平均的なイチゴと同程度とも言われています。
見た目がカブに似ているため、カブのような味を想像する方も多いですが、実際に食べると「思ったより甘い!」と驚く方が多いようです。
【ビーツの味を例えると…】
- 甘いカブとじゃがいもを混ぜたような味
- とうもろこしに似た優しい甘さ
- 収穫したての大根のような風味
- 焼き芋のようなホクホクした甘さ(加熱時)
味の感じ方には個人差がありますが、加熱調理すると甘みがぐっと引き出され、より食べやすくなります。
土臭さの正体「ジオスミン」とは
ビーツを語る上で避けて通れないのが「土臭さ」です。
初めてビーツを食べた方の中には、「土の味がする」「カビ臭い」と感じる方もいらっしゃいます。これは決してビーツが傷んでいるわけではありません。
この土臭さの原因は「ジオスミン(ゲオスミン)」という化合物です。
【ジオスミンとは】
- ギリシャ語で「大地の匂い(earth smell)」を意味する
- 雨上がりの地面の匂いの原因物質
- 人間の鼻は非常に敏感で、ごく微量(5ppm)でも感知できる
- ビーツ特有の成分で、他の野菜にはあまり含まれない
ヨーロッパやアメリカではこの風味も含めてビーツを楽しむ食文化がありますが、日本人の味覚にはやや馴染みにくいと感じる方もいるかもしれません。
ただし、この土臭さは調理法によって大きく軽減できます。
【土臭さを和らげる方法】
✓ 茹でる・蒸す・焼くなど加熱調理をする
✓ 茹でるときに酢またはレモン汁を少量加える
✓ ピクルスや酢漬けにする
✓ ドレッシング(酸性)と合わせてサラダにする
✓ スムージーにしてフルーツと一緒に飲む
※ジオスミンは酸性の環境で分解される性質があります
生と加熱で変わる食感の違い
ビーツの食感は、調理法によって大きく変わります。
【生の場合】
大根やカブに似たシャキシャキとした歯ごたえがあります。サラダなどで薄くスライスして使うと、この食感を楽しめます。
ただし、根の部分は非常に硬いため、包丁で切るのも一苦労。薄切りにするか、すりおろして使うのがおすすめです。
- 食感:シャキシャキ、ザクザク
- 甘み:控えめ
- 土臭さ:感じやすい
- おすすめ調理:薄切りサラダ、スムージー
【加熱した場合】
茹でたり焼いたりすると、じゃがいもに似たホクホクとした食感に変わります。同時に甘みも増し、土臭さも和らぐため、ビーツ初心者の方には加熱調理がおすすめです。
- 食感:ホクホク、しっとり
- 甘み:強くなる
- 土臭さ:和らぐ
- おすすめ調理:ボルシチ、ロースト、ポタージュ
ビーツの種類と品種
ビーツと聞くと赤紫色を思い浮かべる方が多いですが、実はさまざまな色や模様の品種があります。
ここでは、代表的なビーツの品種をご紹介します。
赤紫色のビーツ(定番品種)
▼デトロイト・ダークレッド
最も一般的で育てやすい品種です。
外皮も中身も鮮やかな深紅色に着色し、輪切りにすると美しい年輪模様が現れます。肉質は柔らかく緻密で、甘みが強いのが特徴。
ボルシチやサラダ、ピクルスなど幅広い料理に適しています。ビーツ初心者の方に最もおすすめの品種です。
【特徴まとめ】
- 色:外も中も深紅色
- 甘み:強い
- 肉質:柔らかく緻密
- 用途:オールマイティ(煮込み、サラダ、ピクルスなど)
- 栽培:強健で育てやすい
▼ソーレ
イタリア語で「太陽」を意味する品種。
根も茎も葉も濃い赤紫色に染まり、色の美しさで人気があります。茹でてサラダにするのが定番の食べ方。SNS映えする見た目も魅力です。
【特徴まとめ】
- 色:全体が濃い赤紫色
- 甘み:やや強い
- 用途:サラダ、映える料理に
渦巻き模様のビーツ
▼ゴルゴ(バルバビエートラ)
イタリア・キオッジャ地方原産の品種で、別名「渦巻きビーツ」「キオッジャビーツ」とも呼ばれます。
最大の特徴は、断面の赤と白の美しい渦巻き(年輪)模様。まるでアート作品のような見た目で、料理の彩りに最適です。
ビーツの中で最も甘いとされ、土臭さも比較的少ないため、「ビーツはちょっと苦手…」という方にもおすすめ。
ただし、加熱すると渦巻き模様が薄れてしまうため、色を活かしたい場合は生のまま薄くスライスしてサラダに使うのがベストです。
【特徴まとめ】
- 色:断面が赤と白の渦巻き模様
- 甘み:ビーツの中で最も甘い
- 土臭さ:少なめ
- 用途:生食サラダ(加熱すると模様が消える)
- おすすめ:ビーツ初心者、苦手な方に
▼キャンディストライプ
ゴルゴと似た渦巻き模様を持つ品種。
水分が多くみずみずしいのが特徴で、生食での甘さとさっぱり感のバランスが優れています。唐揚げにすると甘みが凝縮されて美味しいという声も。
【特徴まとめ】
- 色:赤と白のマーブル模様
- 甘み:強い
- 食感:みずみずしい
- 用途:生食サラダ、唐揚げ
黄色・白色のビーツ
▼ルナ(ゴールデンビーツ)
外皮がオレンジ色で、中身が鮮やかな黄色の品種です。
ビーツ特有の土臭い香りが少なく、クセがないため食べやすいのが特徴。赤い色素がないため、まな板や服を汚す心配も少なく、調理しやすい品種です。
ゴルゴほどではありませんが、黄色い渦巻き模様が入ることもあります。
【特徴まとめ】
- 色:外皮オレンジ、中身黄色
- 甘み:やや控えめ
- 土臭さ:非常に少ない
- 用途:サラダの彩り、色を活かした料理
- メリット:色移りしにくく調理しやすい
▼アルビノ(ホワイトビーツ)
珍しい白色のビーツ。
色素がほとんどないため、他の食材の色を邪魔しません。風味はマイルドで、ビーツ特有の土臭さも少なめです。
【特徴まとめ】
- 色:白色
- 土臭さ:少なめ
- 用途:他の食材の色を活かしたい料理に
品種別おすすめ用途まとめ
|
品種 |
ボルシチ |
サラダ(生) |
初心者向け |
|
デトロイ |
◎ |
○ |
◎ |
|
ソーレ |
○ |
◎ |
○ |
|
ゴルゴ |
△ |
◎ |
◎ |
|
ルナ(黄色) |
△ |
◎ |
◎ |
|
アルビノ(白) |
× |
○ |
○ |
◎=特におすすめ ○=おすすめ △=やや不向き ×=不向き
美味しいビーツの選び方
せっかくビーツを買うなら、美味しいものを選びたいですよね。
ここでは、新鮮で美味しいビーツを見分けるポイントをご紹介します。
見た目でチェックするポイント
【サイズ】
- 直径7〜8cm程度(軽く手のひらに乗るくらい)がベスト
- 大きすぎるもの(10cm以上)はスカスカしていることが多い
- 小さめのものは肉質が緻密で美味しい傾向
【形】
- きれいな丸型で、形が整っているもの
- 皮の表面に凸凹がなく、滑らかなもの
- 傷やへこみがないもの
【色】
- 皮の色が鮮やかで、つやがあるもの
- 変色や黒ずみがないもの
【硬さ】
- 手で持ったときにしっかりと硬さを感じるもの
- ブヨブヨしているものは避ける
- ずっしりと重みがあり、中が詰まっている感じがするもの
【茎の付け根】
- 茎の付け根の皮がむけていないもの
- 根元がしっかりしているもの
葉付きビーツの選び方
葉が付いているビーツは、葉の状態で鮮度を判断できます。
【新鮮な葉の特徴】
- 葉が生き生きとしてピンと張っている
- 緑色が鮮やかで、黄色く変色していない
- しおれていない
※収穫後、葉が付いたまま時間が経つと、葉から水分が抜けて根の状態も悪くなります。葉がしおれているものは避けましょう。
【ポイント】
- 泥が付いているものは、収穫後の時間が短い証拠
- ひげ根が付いているものも新鮮なサイン
ビーツの旬と産地
ビーツをより美味しく食べるために、旬の時期と産地について知っておきましょう。
ビーツの旬は年2回
ビーツの旬は年に2回あります。
【春まき → 初夏収穫】
- 収穫時期:6月〜7月頃
- 特徴:みずみずしく、やや軽めの味わい
【秋まき → 冬収穫】
- 収穫時期:11月〜12月頃
- 特徴:甘みが増し、味が濃厚
特に秋まき・冬収穫のビーツは、寒さで糖度が上がり、甘みが強くなると言われています。
国内の主な産地
日本国内では、以下の地域でビーツが栽培されています。
【主な産地】
- 北海道
- 長野県
- 茨城県
- 埼玉県
- 熊本県
涼しい気候を好むビーツは、北海道や長野県などの冷涼な地域での栽培が盛んです。
一方、熊本県あさぎり町のように、寒暖差のある盆地で栽培されるビーツは、糖度が高く、味わい深いものが多いとされています。
輸入ビーツと国産ビーツの違い
【輸入ビーツ】
- 主にオランダ、オーストラリア、ニュージーランド産
- 缶詰や水煮パックでの流通が多い
- 通年入手可能
- 価格は比較的安定
【国産ビーツ】
- 旬の時期に生で入手可能
- 鮮度が高く、風味が良い
- 有機栽培や無農薬栽培のものも増加中
- 直売所やネット通販で購入可能
まとめ|ビーツは栄養満点のスーパー野菜
この記事では、ビーツの基本情報について解説しました。
【ビーツの基本情報まとめ】
✓ ビーツはヒユ科の野菜(カブではなくほうれん草の仲間)
✓ 別名:テーブルビート、火焔菜、ビートルートなど
✓ 「食べる輸血」と呼ばれるほど栄養価が高い
✓ 味は「ほのかな甘みと土の香り」が特徴
✓ 土臭さは加熱や酢で和らげられる
✓ 品種は赤、渦巻き、黄色、白など多彩
✓ 旬は年2回(6〜7月、11〜12月)
✓ 選び方は直径7〜8cmで硬く重みのあるものがベスト
見た目の美しさ、豊富な栄養、そして独特の風味。ビーツは一度知ると魅力にハマる方も多い野菜です。
「土臭くて苦手…」という方も、調理法を工夫すれば美味しく食べられます。まずは加熱調理から試してみてはいかがでしょうか?
【記事情報】
監修:株式会社あさぎり農園
※この記事は、各種文献および当農園の栽培経験に基づいて作成しています。